時時腕時計(ときどき、うでどけい)

趣味で集めた古い腕時計や日々の出来事を綴るブログです

国産初の腕時計 初代ローレル

セイコー(当時は精工舎)は、1913年(大正2年)に日本で初めての腕時計ローレルを発売したのです。今から100年前の出来事です。

 

 

発売当時の様子

当時、腕時計は西洋でもまだ大変珍しいもので、
この翌年の第一次世界大戦でようやく前線の兵士たちの間で使われ始めています。

戦後になって徐々に街中に普及しだしたことを考えると、いかに精工舎に先見の明があったかがわかります。
一方で、需要の中心はまだ懐中時計にあると認識していた精工舎は12型で同型の懐中時計ローレルを合わせて生産し、需要と供給のバランスを図っていたのです。

出展:セイコーミュージアム音声解説

 

ローレルの特長

大きさ

大きさ:12型(約27.1mm)

フランスで使われていた長さの単位(リーニュ)を「型」として使用していました。

※1リーニュは2.2558291mm。

12型の場合、2.256mm×12=27.1mmとなります。これは、ムーブメントの大きさを指します。実測ですと27.1mmより少し小さいようです。

 ローレル発売以降には、より小さな8型、9型、10型などのサイズも登場していたようです。

f:id:oto-man:20190817210214p:plain

時計の外観はこの大きさに、ケースやリューズの大きさを加えたものになります。

ちなみに、腕時計より前に普及していた懐中時計は16型とか17型が主流であったようです。

したがって、ローレルのムーブメントを利用した12型の懐中時計は、かなり小さなもので、婦人用の懐中時計として扱われていたのではないかとの説もあります。

f:id:oto-man:20190817191423p:plain

右側が懐中時計、左側はそのムーブメントを利用した(と思われる)腕時計。

文字盤の大きさは500円硬貨とほぼ同じくらいです。500円硬貨を腕に載せてみれば小ささがわかります。

値段

販売価格は1921年(大正10年)時点で16円75銭とのことです。

現代の価格との比較は難しいのですが、大正9年当時の米10kgの価格は3.7円だったとの情報があります。

 

文字盤

文字盤は時分の他に秒を示すスモールセコンドが6時位置に独立しています。

 素材はホーロー製と金属製があります。

琺瑯(ホーロー)

ホーローエナメル、瀬戸干支(セトエト)と呼ばれる場合があります。

ほうろうは、鉄製素材のダイヤルに、不純物の極めて少ない粘土・純水・ガラス等を原料とする釉薬(うわぐすり)を塗布して、高温で焼成したものです。古くから使われていた素材ですが、非常に手間がかかり製造が難しいため、一部の特別な商品にのみ使われています。

プレサージュ解説より

地は白(乳白色)で、12時を赤く印刷したものが、資料などで紹介されています。

これとは別に、12時を黒で印刷したもの、字体が異なるもの等、何種類かあるようです。

金干支(カネエト)

真鍮板にメッキを施しその上に文字をプリントしたもの。後年の交換用部品と思われます。

f:id:oto-man:20190817192123p:plain

 

リューズの位置

腕時計のリューズは3時の位置にありますが、ローレルには12時の位置にリューズがあるものが存在します。

懐中時計の場合リューズは12時の位置なので、懐中時計用のムーブメントを腕時計用のケースに入れたのではないかと推測されます。この製造をセイコーが行ったのか、時計店独自に行ったのかは資料がないためわかりません。

3時と12時

ムーブメントを見てみると、リューズの位置が3時と12時では異なることがわかります。つまり、ムーブメントとしては2種類存在したことになります。

f:id:oto-man:20190817194132p:plain

左側がリューズ位置は3時。右側が12時です。

文字盤の干支足は共通

干支足の穴の位置は共通なので、リューズ位置に合わせた文字盤というものはないようです。

100年前の腕時計は実用可能か?

今回入手した時計は、パリス管ベルトが付属した感じの良いローレルです。

リューズは12時位置。文字盤の12時表記は黒です。

f:id:oto-man:20190817234042p:plain

巻き上げ後、12時間ほど観察しましたが大きな遅れや進みもありませんでした。

防水性は皆無でしょうから、そこは気を付けつつ、あと、風防の立て付けも弱そうなのでぶつけたりしない様、注意が必要です。

f:id:oto-man:20190817234202p:plain


初代セイコー ローレル 1913年(大正2年)

100年前の時計が動いていて、それをお供に一日過ごすことができるなんてすばらしいことです。

その他

機械遺産への登録

2014年(平成26年)に日本機械学会より、日本の機械の発展に貢献したとして「機械遺産」に認定されています。

ローレルの他に、グランドセイコーファーストと世界初のクオーツ時計アストロンも同時に登録されています。

この機械遺産は面白くて、新幹線の0系やYS11旅客機、しんかい2000等、自分が子供の頃に見聞きした製品があります。日本の誇りですね。

復刻・リデザインモデル

2000年に発売された限定コレクション「セイコーヒストリカルコレクション “THE YEAR 2000”」でローレルが復刻されています。かなり再現されています。

1000本限定で、10万円でした。中古でも手に入らないようです。

その他にローレルの意匠を元にリデザインしたモデルが存在します。

 

まとめ

国産初の腕時計「ローレル」について調べてみました。

事実を記載すべく、部品や不動の機械写真などを用いていますが、推測的な記事もありますこと、ご了承ください。